ハイヤー乗務員の仕事内容

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ハイヤー乗務員の実態

ハイヤー乗務員と一括りに言っても、いくつかの仕事内容に分類できます。今回はその分類についてご紹介しようと思います。

3つの仕事内容

ハイヤー乗務員の仕事内容は、

  • 車庫番
  • 専属
  • 請負

の3つに大別でき、それぞれの分け方は、

  • 乗せるお客様が固定か否かの違い
  • 運転する車両の所有者の違い

で変わってきます。

どれも『お客様を安全・快適に目的地へお連れする』という大前提に変わりはありませんが、乗務員の立場からすると、まるで別の職種であるかの様な違いがあります。

どちらも一長一短で、メリットとデメリットがありますので、それぞれについて説明していきましょう。

車庫番とは

車庫番とはハイヤー会社の車両で運行し、毎回違うお客様を乗せる仕事内容になります。

イメージとしては、タクシーの予約車の動きと近いといえます。

単発、フリー、スポットなどと呼ばれる事もあります。また単純にハイヤー仕事と言えば、この車庫番を指す事も多いです。

車庫番は新人の登竜門

1日の流れはこちらの記事で紹介しています。

1日の中で複数の運行をする事になるので、以下の様な特徴があります。

  • 毎回違うお客様を乗せ、違う場所に行くので、勉強になる、場数を踏める。
  • お客様が乗車されてからの予定変更が少ないので、対応力に不安があっても何とかなる。
  • 短時間の運行なので、会社が管理し易い。

この様に新人乗務員が経験を積むのに適した仕事内容と言えるので、多くのハイヤー会社は研修終了後の数ヶ月は車庫番からスタートして、仕事に慣れてきた頃に専属や請負の仕事に回すケースが多いのです。

車庫番のメリット

車庫番は仕事内容がその日に決まるので、特定のお客様の予定に縛られないのが最大のメリットです。

仕事が決まる前なら、ある程度は自分の都合で仕事量をコントロールする事が可能なのです。

「今日は早く帰りたい」と思うのであれば、遅い時間に食い込みそうな仕事は断れますし、逆に「残業代を稼ぎたい」と思えば遅い時間の仕事を回して貰える様に頼む事もできます。

また事前に申請しておく事で、自分の予定優先での有給休暇取得もし易いです。

会社全体の仕事量もあるのでいつも自分の思い通りにできるとは限りませんが、仕事量をある程度でも自分でコントロールできるのは、お客様の予定に縛られる専属や請負には無いメリットです。

車庫番のデメリット

『自分の』予定が立て易いのが車庫番のメリットですが、逆に『仕事の』予定が立て難いのが車庫番のデメリットになります。

当日の仕事の依頼量や出勤している乗務員の人数などによって、どんな仕事を振られるかが変動するので、自分の仕事の件数や時間が当日にならないと分からない事がほとんどです。

行先も毎日変わりますので、その都度にルートなどを調べなくてはなりません。

お客様も毎日変わりますので、好みに合わせた運転や立ち振る舞いなどの、きめ細かいサービスも難しくなります。

毎回違うお客様を乗せて、毎回違う場所へ行くのは、やはり精神的負荷が大きいと言えます。

また仕事量に関してもある程度はコントロールできますが、逆に言えば自身でコントロールしないと収入が安定しないとも言えます。

専属とは

専属とは特定のお客様の担当となり、ハイヤー会社の車両で運行する仕事内容となります。

イメージとしては、いわゆるお抱え運転手を想像して頂ければ良いと思います。

ハイヤー(hire)とは『臨時(短期的)に雇われた』と言う意味の英単語であり、元々はゲストの送迎などの単発仕事を指していました。

しかしバブル崩壊後、各企業がコスト削減として自社雇用していた役員車の運転手をハイヤー会社へアウトソーシングさせるケースが増え、今ではハイヤー会社の収益の柱となっています。

専属が上手くこなせて一人前

専属になると運行の細かい指示はハイヤー会社(配車デスク)からでは無く、お客様自身や秘書様から直接連絡を頂く形になります。

車庫番であれば会社が管理してくれていた運行内容を乗務員自身が管理する事になりますし、お客様や秘書様と接する機会も増えるので、より適切な接客態度も求められます

先述の通り、ハイヤー会社としても専属契約のお客様は大切な収益源でもあるので、評価の低い乗務員に任せる訳にはいかない仕事なのです。

専属のメリット

多くの場合は月単位や週単位の予定表を頂けるので、その期間の仕事予定が立て易くなります

毎日同じお客様を乗せるので、行き先もある程度は固定化されて来ますし、新しい行き先も予定表にあれば事前に調べる事ができます。

こうして余裕が生まれれば接客などのサービス向上に力を注げますので、お客様との信頼関係も築き易くなります。

行き先や接客に対する不安が軽減されるので精神的は楽になり、益々仕事がやり易くなるのです。

収入面についても、丸一日の拘束が毎日続きますので、利用時間の歩合が車庫番に比べて大きくなるメリットがあります。ハイヤー乗務員の歩合は給料全体に対する割合としては大きくありませんが、チリも積もれば何とやらです。

専属のデメリット

お客様の予定に縛られるのが専属最大のデメリットです。

カレンダーでは休日でも、お客様がゴルフに行く、出張で空港へ送迎があると言われれば出勤しなくてはなりません。

どうしても外せない私用があれば代わりの乗務員が代務にあたる事は可能ですが、一対一の信頼関係が重視される専属勤務ですので、どうしてもプライベートは犠牲になりがちです。

平日でも急に接待の会食が入る事なんて日常茶飯事ですので、今日の仕事が何時に終わるかは、終わるまで分からないのが専属勤務なのです。

また、お客様も乗務員も人間ですので、どうしても肌が合わない事もあります。そうなると嫌な相手と毎日、車内という密室て2人きりの時間を過ごさねばなりません。それはお客様にとっても不利益なので、会社に報告すればドライバー交代という事にもなりますが、交代の乗務員が決まるまでには日数を要するのが現状です。

請負とは

請負とは、業務としては専属とほぼ同様ですが、お客様(の企業)が所有する車両で運行にあたる仕事内容です。

ナンバーも緑ではなく白ナンバーで、乗務員も制服ではなく自前のスーツで勤務しますので見た目は自社雇用の運転手と変わりありません。

車両は無しで乗務員だけが出向する事から、出向や派遣と呼ばれる事もあります。逆に制服や緑ナンバー車両と離れるので、ハイヤー乗務員と言う呼び方はあまりしなくなります。

請負は直行直帰

運行する車両が先方所有の車両になりますので、基本的に直行直帰でハイヤー会社には出社しません。毎日の出庫や帰庫時の点呼は電話で行い、アルコールチェックも会社から貸与された個人用の端末で行います。

通常、乗務員は点呼後に車両保管場所(自宅近くに駐車場を借りる事が多いです)からお客様のご自宅へお迎えにあがって出社し、予定終了後はご自宅へお送りして再び車両保管場所へ車両を停めて帰宅し点呼するという一日の流れになります。

ハイヤー会社への出社は講習や出勤日数の調整など年に数日だけとなりますし、車検などの車両メンテナンスも乗務員が主導で行う事になりますので、より一層の管理能力が求められます

請負のメリット

業務の流れや詳細は専属勤務と大きな違いはありませんので、メリット・デメリットも専属に準じます

その他の部分で言えば、直行直帰は肉体的にも精神的にも楽だと言えます。終電や始発の時間を気にする事なく、毎日自宅へ帰れるのは魅力的です。(乗務員の中には「帰るのなんて面倒くさい。毎日会社に泊まった方が良い」なんて人もいますが…)

また、意外に思われるかも知れませんが、スーツに白ナンバー車両での運行という事も魅力的に感じる乗務員も少なくありません。いわゆる『高級店』と呼ばれるお店では、制服で緑ナンバーだと「なんだハイヤーか」的な、少しだけ格下な扱いを受ける事が稀にあるのです。

請負のデメリット

車検や定期整備、消耗品の交換などの車両管理を乗務員がしなければなりません。もちろん費用はお客様(の企業)持ちですが、手配は自分でやる事になります。忘れてましたでは済まされません。また、保管場所のセキュリティ状況によっては、車にイタズラされたりする事もありますので、とかく車両の管理に気を使うのです。

また、早朝や深夜のご利用が少ないお客様だった場合は収入面が心配されます。

専属であれば、お客様をお送りした後にスポット仕事を受けて残業する事も可能ですが、請負は直行直帰なので改めて出社しなければなりませんので、夜の追加仕事は実質的に不可能という事になります。

そうなると休日出勤を増やすしか方法が無くなってしまうので、プライベートがかなり圧迫されてしまいます。

まとめ

新人は車庫番からスタートして、慣れてきた頃に会社から専属や請負の打診を受けるのが通常です。

仕事である以上、収入や休みの事も大切ですが、ハイヤー乗務員の仕事で大切なのは、お客様からの信頼を得る事です。

お客様から「こいつ大丈夫かな?」と疑われながらする運行は辛いものですし、逆にお客様から信頼されながらする運行はとてもやり甲斐があるものです。

車庫番・専属・請負に関わらず、お客様第一で頑張る事が、長く快適に仕事を続ける秘訣と言えるでしょう。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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